金耳の猫

ほぼ毎年行っている「テーブルウェアフェスティバル」で一目惚れし、母に買ってもらった(いい年してからですが)陶器製の招き猫。
左手で招いているので、客人をお招きしようと玄関に置いていました。

ところが数年前にうっかり落として左耳を欠けさせてしまい、可哀そうなことに!
接着剤で何とか自力でできる限り復元したものの、どうしても戻らないパーツで酷い有様になっていました。

壊れたものは割とあっさり処分してしまう方ですが、さすがにこのコにはそんなことはできないし、といっても縁起物ですからこのままで玄関に置くわけにもいかず。

決断できないまま何年か経ったある日、表参道の『彩泥窯』という金継ぎの教室を知りました。
金継ぎは、割れたり欠けたりした器などを漆で接着して修復する日本の伝統伎で、金や銀を足したりして、単に直すだけでなく付加価値を付ける美意識が根底にあります。
最近メディアで取り上げられることも増えたのでご存知の方も多いと思いますが、完成までにとても時間のかかる作業です。

一瞬、教室に通って金継ぎを習得して…と考えましたが、いつになるかわからないし、できるかどうかもわからないし、道具用意しないといけないし。
悩んで連絡してみたら、食器以外も修理を受けてくれるとのこと。
早速エアキャップでぐるぐる巻きにして持っていき、係の方と直し方(費用にも大きく関わってくる)を相談してしばしの別れ。
金を使うこと以外の細かいことは職人さんにお任せすることにしました。

数か月後、カワイイ金入り耳になって帰ってきました。
気のせいか、嬉しそうな顔になってる!

金継ぎを取りか上げた何かの番組で見ましたが、金を入れるといってもその色味や形、位置、加減などは職人さんの技術とセンス次第、もはや芸術です。
想像するに、あえて元の耳の金色と同じにせず、胸の鈴の色に合わせた色味と風合いにしてくださったのではないでしょうか。

福が増して帰ってきたこのコ、最初に造ってくださった職人さん、継いでくださった職人さん、2人の職人さんに感謝して大切にします。